7routeplanet

写真と七辻脳内白描図

2018-01-01から1年間の記事一覧

木星とおとめ座の簡単な話

五月も半ばの今の時期、夜も更け始めの頃に空を見上げれば、南東にひときわ輝く星が見える。光が強く瞬かないことから、それが惑星だということは容易に思いつくことだ。だが、それがどの惑星であるかまでは、残念なことに私も調べないとわからない。 なので…

読書な食事

面白い記事を書こうとしてブログを書くつもりはないが、創作で何か面白いことはできないだろうかと思案している。 前にも書いた通り、読書欲がここのところ続いており、通勤時間を筆頭に本をひらく暇があればぽつぽつと「むさぼっている」。 この「むさぼっ…

彗星ポートレイト

‪ 黒いアジャスターケースから、フラッシュを焚くための粉が次々と打ち上げられて、スペースシャトルの噴射よろしく眩い輝きを放つ。‬ ‪ ステージに立つ五人はアジャスターケースを支えながら、満面の笑みを浮かべて打ち上がるそれを見上げている。‬ ‪ 僕は…

加速する読書欲

履歴を振り返ったところ、久々に読破した小説の購入日は三月十二日だった。 あのとき仕事中にふと思い出して手に取ったのは、「幻夢の聖域」、羽角曜氏のファンタジー小説。 その後に資料として岩波文庫「死都ブリュージュ」を買い、ひと読みしてしまった。 …

月の出

帰宅してまもなく鞄を壁際に置くと、部屋の明かりも付けずに窓際まで足を進めた。窓を開け、ひんやりとした空気を受けて、頼りない欄干は右側、窓のへりに腰掛けて、胸ポケットに入れていたアイシーンワンを一本咥えてライターを近づける。 窓からの景色は真…

ファミコン発掘

家の倉庫の中でファミリーコンピュータを見つけた時は、弟と二人で騒ぎ立てたような覚えがある。 親も、とうとう見つけられてしまったか、と言いたげな表情をしていた気もするが、少なくとも嫌な顔をされたような覚えはなかったし、あの時倉庫の中を覗いた理…

夢話 港湾都市札幌駅

コンクリート打ちっ放しの柱に支えられた線路に沿って、目の前を東海道線に似た列車が通過していく。 明日仕事があるにもかかわらず北海道まで来てしまった。仕事の時間までには戻るつもりだが、本当に戻れるかどうかは定かではない。 夜は更けて、半円を描…

視線の合わない右目と左目

電車のドアの片隅に立っていると、ドアに映る自分の片目を、もう片方の目で眺めることがある。 片目は視線を交えずやや斜め向こう側を見つめ、あれが右目と左目の差異なのだと気付く。 そして同時に、右目と左目はその視線を交えることは決してないことを知…

緑色の桜 御衣黄

御衣黄と呼ばれる桜がある。 読みは「ぎょいこう」、最近では名を知られるようになったものの、何処に咲くのか、また存在を知らない人も多くない。 御衣黄 桜といえば極淡の紅色をした、いわゆる「桜色」の花弁を連想するが、これは黄桜、鬱金桜などの黄色い…

SS「花見」

児童公園の桜の木は、青いベンチの端に爪立てば、とどくかとどかないかの枝葉を揺らして幼い指さきをもてあそんだ。その枝先には、ひとかたまりの桜が四方八方へ向けてここぞとばかりに花開いている。 青いベンチに、片足をずった爺が腰を下ろしてはにかんだ…