家の倉庫の中でファミリーコンピュータを見つけた時は、弟と二人で騒ぎ立てたような覚えがある。
親も、とうとう見つけられてしまったか、と言いたげな表情をしていた気もするが、少なくとも嫌な顔をされたような覚えはなかったし、あの時倉庫の中を覗いた理由は、親に何かを頼まれたからだったような気もする。
そのことを踏まえて今思えば、あれは親が私たちのために用意したサプライズだったのではないかと考える。
程なくして、私と弟は親に初めてのテレビゲームソフトを買ってもらった。
弟はソードマスターという横スクロールアクション、私はけろけろけろっぴの大冒険というパズルゲームだ。
ゲームは先に弟がやったかどうか。ソードマスターはコテコテの西洋風描画で敵を倒しながら先へ進む、魔界村のようなゲームだった。
これがとても難しかった。なんせすぐにゲームオーバーになってまた始めからやり直しになるのだ。それでも弟はよく頑張って、上手くなっていった。私が覚えている範囲では、ボスの最後かその手前まで行けるくらいにまで上達していた。
けろけろけろっぴの大冒険は、けろっぴのガールフレンドであるケロリーヌをわるものから救い出す話で、わるもののいる城へと向かうそれぞれのステージが四種類のパズルになっており、それを攻略して行くものだった。最初は簡単だったが、次第に難しくなって、結局途中で進めなくなってしまっていた。
おそらくこういった経緯があるためか、弟は今でもアクションゲームが得意であるし、私はパズルゲームを心から好いている。
当時買ってもらった初めてのゲームは、今でも私が大事にしまっておいてあるが、久しぶりに遊ぼうと電源をつけてみたところ、BGMが半音下がっていた。しかしまた遊べるようだ。
齢を重ねて高校時代かそのあたりに、一度ファミコンを引き出して、もう一度けろけろけろっぴの大冒険を遊んだ事がある。
すると、あっけないほどにエンディングまで到達してしまい、あの頃の苦労は何だったのだろうと拍子抜けした後に、あの頃に遊んで良かったものだったのだと嬉しくも思った。
ゲームは子どもを楽しませるものだと認識したのはそのときだった。