7routeplanet

写真と七辻脳内白描図

視線の合わない右目と左目

 電車のドアの片隅に立っていると、ドアに映る自分の片目を、もう片方の目で眺めることがある。
 片目は視線を交えずやや斜め向こう側を見つめ、あれが右目と左目の差異なのだと気付く。
 そして同時に、右目と左目はその視線を交えることは決してないことを知る。

 大したことはない。
 ドアの外は相変わらず、真っ暗闇の中で景色が移ろい、視界から消えて行く。