7routeplanet

写真と七辻脳内白描図

加速する読書欲

 履歴を振り返ったところ、久々に読破した小説の購入日は三月十二日だった。
 あのとき仕事中にふと思い出して手に取ったのは、「幻夢の聖域」、羽角曜氏のファンタジー小説
 その後に資料として岩波文庫「死都ブリュージュ」を買い、ひと読みしてしまった。

 次に小説を買ったのは、三月二十三日。
 いつか読もうと思っていたがいまいち踏ん切りのつかなかった小説、三浦しをん氏の「舟を編む」を手に取った。読むなら今しかない。そう思い込み、購入直後にその場で読み出し、ベンチを転々とし、歩き読み、読破するまで家には帰らないと五時間かけて読みきった。
 これを皮切りに、私の読書欲がふつふつと沸き起こり、仕事の休憩の度、仕事帰りの度、書店へ赴いては面白そうな小説を手に取っていくこととなる。

 まずは家で積読していた筒井康隆氏の「旅のラゴス」、次に大好きな中勘助氏の「銀の匙
 今考えている物語のキャラの名前を決めようとネットを漁っていたときにたまたま見つけた、恩田陸氏の「光の帝国」と、書店に新刊として平積みされていて目に付いたため一緒に購入した、沢村鐡氏の「あの世とこの世を季節は巡る」を二冊半日で読み下し、兼ねてより読みたかった西條奈加氏の「千年鬼」をじっくりと読み込んだ。

 四月に入り、仕事の同僚に面白い本はないだろうかと聞くと、昔話の本も面白いですよ、と「御伽草子」を勧められ、これは図書館で借りて一通り読む。序でに話題に持ち上がった芥川龍之介の「三つの宝」を国立国会図書館デジタルコレクションで読み、家で積読していた「蜘蛛の糸地獄変」を再読。

 ここでさらに何か面白い本はないだろうかと書店を回り、講談社文芸文庫から出ている「柄谷行人中上健次全対話」の中身が面白かったので、Suicaをチャージし直してきてこれを購入。序でに中上健次氏の「十九歳の地図」を読みたくなったので、文庫のうちそのタイトルの話だけを読み下す。久々に対話形式の本を読んだため、Podcastで以前聴いていたスタジオジブリ鈴木プロデューサーのラジオ番組、ジブリ汗まみれの再視聴を開始。

 ふとシャーロック・ホームズを読みたくなり、家の本棚からコナン・ドイルシャーロック・ホームズの短編うち二冊を適当に漁り、これを再読。一息入れて養老孟司氏の「唯脳論」を再読。
 竹本健治氏の「腐食の惑星」はジャケ買いして未読、先日書店でふと見つけて衝動買いした、図書館でひと読みして以来の「道化師の蝶」を先に再読。

 昨日の仕事明けに立ち寄った書店で、吉田篤弘氏の「針がとぶ」と「水晶萬年筆」、北原尚彦氏の「シャーロック・ホームズの蒐集」、そして、いつか挑戦しようと思い、ようやく購入に踏み切った、夏目漱石氏の「吾輩は猫である」を買い、つい先ほど吉田篤弘氏の小説二冊を読み終え、もう一度シャーロックホームズの短編を読み直し今日に至る。

 読めば読むほど自身に足りない文法の書き方や意味のわからない単語、情景描写、ストーリーの組み方が露わになる。
 私もこんな風に物書きをしたい。
 まだ読み始めていない文庫もあるので、取り敢えずはもうしばらく読み耽ろうと思う。