7routeplanet

写真と七辻脳内白描図

夢話 港湾都市札幌駅

 コンクリート打ちっ放しの柱に支えられた線路に沿って、目の前を東海道線に似た列車が通過していく。

 明日仕事があるにもかかわらず北海道まで来てしまった。仕事の時間までには戻るつもりだが、本当に戻れるかどうかは定かではない。

 夜は更けて、半円を描いた港も彩度を落とし、暗くぬっぺりとした海風を運ぶ。

 次の電車が到着し、僕はそれに乗り込んだ。ドア越しに下方を覗くと、次の電車を待つ人々と、柱に沿って寒さをしのぐ人々、文庫本を読むのがやっとだろう薄暗い灯りの下で、人影は多かったが歩いている人は少なかった。

 車体が上方へ持ち上がるのを感じ、まもなく電車が動き出した。進行方向に札幌駅の駅名標が見える。

 目的地は温泉で有名な駅だったが、僕は温泉に興味はなかった。 

 

 駅を降りて、闇夜に明かりひとつの駅舎外へと出る。

 人の気配は無く、札幌駅のようにコンクリート打ちっ放しの柱が立っているだけで、感慨もない。

 僕は明日無事に仕事へ出られるだろうか。そんなことを思いながら、柱に寄りかかり、駅舎を振り返った。

(目覚めたため、ここまで)