駅前に置いていた自転車まであともうすぐのところで、道端でぶっ倒れたのは、19歳の夏。
胃が痛すぎて、耐えられなくて動けなくなった。
病院に搬送される間、黄色い胃液を吐き続けたのはなんとなく覚えている。
いわゆる、多発性胃潰瘍だった。
原因はストレス。
倒れる二週間前から、胃の痛み方が変わっていた。
当時のバイト先の人間関係はうまくいってなかった。仕事は好きだったが。
薬と点滴で治るらしく、食事はしばらく重湯ばかり。
重湯は不味い。食べ切るのにかなり気持ちが折れる。
たまに美味く感じることがあったのは、気の持ちようなのだろう。
退院したあとは、一ヶ月ほど家で養生していた。
まともな飯を食えるようになったのは、それから二週間後だったか、三週間後だったか。
家から出られそうなときは家を出て、親の買い物に付き合ったり、身体を元に戻そうと無理のない範囲で活動したり。
そのあたりはよく覚えていない。
一ヶ月後に学校とバイトの復帰。
それから、バイト先での人間関係が少しだけ緩くなった。
当時は安心したが、まぁうん。言いたいことはあるが、もういいか。
当時、助けてくれた方々に、お礼を言えなかったんだよな。
人と話すのが本当に駄目だったんだ。
有難う御座いますの一言も、言えなかった。
今は確と、言えるように。
あのとき、助けてくださって、有難う御座いました。
そんなことを、ふと思い出しただけのこと。
もう、初夏だな。
4月29日の月齢6.47銀