去年の初めに行ってきた「ゴッホ」展(会期はすでに終了)
その図録をしばらく眺めていた。
私は、ゴッホの「糸杉」が大好きで、あの日「糸杉」をこの目で確と見納めたことは、今でも心に深く刻まれている。
三回観に行った。
三度目の「糸杉」を本当に、目に焼き付けたのだろう。あの筆の質感と、力強さを感じさせる糸杉の、燃えるようなうねりがまるで緑葉に化ける焔のようで。
雲を描く曲線一本一本。細く嗜めるような三日月。
空の揺めきが大気中の輝きを思わせる。
私もこんな作品を作ってみたい。
そんなことを毎回思って吐き気がする。
人の心を揺り動かすほどの作品を、私も作ってみたい。
文字で表わせるだろうか。
同じような力強さを。
畏れにも似た緊張感を。
あの手触りを。
再現したい。